慢性心不全はすべての心疾患の終末像であり、先進諸国においては死因の多くを占めています。わが国では心疾患は全ての死因の15%を占め、悪性新生物についで第二位となっています。慢性心不全は心臓の機能低下によって生じる臨床症候群と考えられており、アメリカ心臓病学会で提案されたステージ分類では、心不全発症のハイリスク状態であるStage-Aから、すでに器質的な心臓の構造的異常があるが症状のないStage-B、心不全症状が顕性化したStage-C、難治性となり心移植などの治療を必要とするStage-Dへと移行する進行性疾患と捉えられています。一方慢性心不全は高齢者に多い疾患であり、今後未曾有の高齢化社会を迎えようとしているわが国においては本疾患の著明な増加が危惧されています。
東北心不全協議会では、慢性心不全患者さんの登録事業、東北慢性心不全登録(Chronic Heart Failure Analysis and Registry in the Tohoku District: CHART)を2000年2月より開始し、これまでに多数の知見を学会や論文を通して発表してきました。その要旨は、(1)欧米とは異なり冠動脈疾患を背景とする慢性心不全は約25%にとどまり、非虚血性心筋症、弁膜疾患が約67%を占めている、(2)これまでの予想に反して、日本人における慢性心不全患者の予後は欧米の大規模臨床試験の結果とほぼ同等であり、予後は良好とは言えない、(3)慢性心不全薬物治療の浸透率を検討すると、高齢者、女性、拡張不全症例、弁膜症症例では十分な治療が行われていなかった可能性があり、この領域におけるエビデンスの集積が必要であること、です。CHART試験は2005年12月で終了しましたが、慢性心不全治療においては、メタボリック症候群などの新たな心血管疾患リスクの発見や両心室ペーシングなどのデバイス治療の対象となる重症心不全の増加など様々な問題が山積しています。
このため、東北心不全協議会では2006年10月より東北地区基幹17病院の協力を得て新たな慢性心不全コホートCHART-2登録研究を開始しています。このコホートでは、症状のある心不全症例(Stage-C/D)だけでなく心不全の前段階であるStage-B症例を連続で10,000例を登録する予定で、世界でも有数のコホートになると思われます。また、登録した症例のうち高血圧のある症例を対象にしてアンギオテンシンII受容体拮抗薬によるランダム化薬物介入臨床試験SUPPORT試験を開始しました。この試験により、日本人における本薬剤の世界初のエビデンスが得られることが期待されます。本試験参加希望の方はお気軽に事務局までご連絡ください。





